1番好きな小説ってなんだろなーと考えて、真っ先に思い浮かぶのはロベルト・ボラーニョの『第三帝国』。

第三帝国 - 白水社
作家の遺稿から発見された異色の長篇『2666』の世界を先取りする初期の重要作戦争ゲーム〈第三帝国〉のドイツ・チャンピオンがカタルーニャの海岸で過ごす奇妙な休暇。現実と虚構の狭間で、次第に得体の知れない

ボラーニョの遺稿として見つかり出版されたものなので、彼の他の作品と比べクオリティ面で劣るとされる(習作と評されてることが多い)が、傑作と見做されている『2666』は途中でやめちゃったんけど、私はこれは夢中で読んでしまったし、世の中で1番好きな小説かも。

ボラーニョの小説ってジャンルとしては私は勝手にホラーだと思っている。ホラー小説だけど幽霊は出てこなくて、代わりに出てくるのはファシズムの幻影。独裁政権下のチリで政治犯として投獄され、放浪ののちに亡命者として異国で亡くなった彼の小説からは、どこにいてもどの時代においてもファシズムから逃れられないという恐怖が滲み出ていると思う。

日本の作家で似た世界観を感じるのは奥泉光。奥泉光は現存する日本の作家で1番好き。著作もたぶん全部読んでると思う。

『石の来歴 浪漫的な行軍の記録』(奥泉 光) 製品詳細 講談社
現実と非現実の交錯を描く芥川賞受賞作。石に異常な執着を示す男の人生。長男の死、妻の狂気、次男の学生運動、夢と現実の交錯のなかで描かれる奥泉光の芥川賞受賞作。他に「浪漫的な行軍の記録」所収ーー太平洋戦争末期、レイテで、真名瀬は石に魅せられる。戦後も、石に対する執着は、異常にも思えるほど続くが、やがて、子供たちは死に弄ばれ、妻は狂気に向かう。現実と非現実が交錯する、芥川賞受賞作「石の来歴」。兵士たちの、いつ終わるとも知れぬ時空を超えた進軍、極限状況の中でみたものは……。帝国陸軍兵士の夢と現を描く、渾身の力作、「浪漫的な行軍の記録」所収。

『浪漫的な行軍の記録』は1番衝撃を受けた。洒落にならないレベルで怖い戦争小説。

↑の元ネタであるところの大岡昇平の『野火』は私は怖い戦争小説や反戦小説というよりむしろ、都会的な文体センスのバチバチに光る超絶クールな小説だと思っている。語り口がクール&ドライで痺れるかっこよさ。

『野火』 大岡昇平 | 新潮社
敗北が決定的となったフィリッピン戦線で結核に冒され、わずか数本の芋を渡されて本隊を追放された田村一等兵。野火の燃えひろがる原野を彷徨う田村は、極度の飢えに襲われ、自分の血を吸った蛭まで食べたあげく、友軍の屍体に目を向ける

好きな小説の話